部下から、出社拒否されたお話 ~思いきって助けを請う~
ある日、苦手なパソコン習得が逃れられない状況に追い込まれたスタッフが言い放った
「あしたから会社こなくていいですか?」
にフリーズしたわたし。
わたしがとった対策は次の2つでした。
- パートリーダーにすがり、逆ギレスタッフのお世話を任せる。
- 教育体制をととのえるため、上司にネゴる。
きょうは1番目についてです。
パートリーダーの奮闘
翌朝、研修担当の先輩と上司に「逆ギレされました」と報告後、パートリーダーを呼び出しました。
(例のスタッフはちゃんと出社しました)
パートリーダーにきのうの出来事を共有し、
「どうしたら良いか考えあぐねて困っている、一緒に考えてほしい」
と率直に伝えました。
そこで出てきたキーワードは
たりない自分に出会いたくない
もともと彼女はミスが少なく堅実な仕事ぶり。
そこへ突然つきつけられた弱点。
パソコンをやると、たらない自分と出会ってしまうのです。
またできない自分に出会って、しんどい思いをしたくない。
かといって、自分ができるようになるイメージも持てない。
だったらパソコンから遠ざかればいいんだ。
そうすれば以前と変わらず気持ち的に平穏さが保たれる、と。
別の角度からみると、未知の存在にはじめから白旗状態。新しいことに対して乗りこえられる自信がないともいえます。
そこまで考えが及ぶと、パートリーダーはこう言いました。
「わかりました。彼女に自信をつけてもらうためになにができるか考えてみます」
するとその日から「さっすがー」とか「すごーい」などというパートリーダーの言葉が聞こえるようになりました。
とるに足らない小さなこと、たとえばファイルを閉じるとか、ファイルを保存するとか、そんなレベルでもできたことに対してほめていたのです。
パートリーダーがいま求められている最善策として、あえて演じていることがイタイほど伝わってきました。
わたしはパートリーダーの言葉が聞こえる度に、こころのうちで何度も「ありがとう。ありがとう」と唱えていました。
わたしの役割は、ときどき進捗報告に訪れるパートリーダーを労って話を聴くこと。
わたしもあえて出しゃばらず、すべてを委ねることにしました。様子は気にかけながら。
逆ギレスタッフの変化
そうこうしてひとつきがたった頃。
パートリーダーが晴れやかな表情で報告してくれました。
あれだけパソコン恐怖症だった彼女が、他チームのパートさんにパソコン操作を堂々と教えていて、涙が出そうだったと。
聞いていたわたしも、胸が熱くなりました。
パソコンができないと後ろ向きだった彼女は、いまや明るい表情でイキイキと過ごしています。パートリーダーの仕事ぶりを目の当たりにして何かを感じ取ったのか、必要とされる仕事を自分なりに感じ取り、率先してこなしてくれるようになりました。誰からも指示はしていません。
彼女がイキイキとしているのは、誰かの役にたつことに喜びを感じるようになったからかもしれません。
それは、ダメだったOAスキルを身につけて克服し、さらにそのスキルを誰かに分け与えるほどになったことと無関係ではない気がしています。
直近でチーム編成を変えましたが、おかげで彼女を軸に据えられるほどの変貌を遂げました。
それでは、また。